三陸沖でM6クラスが4回連続…“続発領域”で揺れる不安　政府も異例の注意喚起

　三陸沖で続いている地震活動は、単なる一時的な揺れではなく、「続発領域」で起きているという点が非常に気になります。今回の1週間では三陸沖を中心にM6クラスの地震が立て続けに発生し、24時間以内だけで4回という頻度は、一般の生活者が感じる以上の異常さを示しています。震度3という数字だけを見ると「大きくは揺れていないのでは」と思いがちですが、この地域特有の“深さの浅い地震”や“エネルギーが蓄積されやすい構造”を考えると、油断できない状況であることがよくわかります。

　三陸沖が「続発領域」であると指摘された背景には、過去に類似したパターンを何度も経験していることがあります。1989年の活動では、M6クラスが2回続いた後、すぐにM7.1が発生し、津波も観測されています。1992年にかけての活動でも、数日間にM6クラスの地震が複数回発生し、その後さらに大きな規模の揺れが起きています。こうした歴史を踏まえれば、今回のように連続でM6が続く状況は、少なくとも「何もないよりは注意すべき状態」だと言えると思います。

　もちろん、過去のパターンが必ずしも未来を決めるわけではありません。しかし、同じ海域・同じメカニズム・似た時間軸で揺れが続くと、人々が不安を感じるのは自然です。特に今回の地震は深さが8kmと非常に浅く、プレート境界型でも比較的影響が表面に出やすいタイプです。震源から遠い地域でも震度3の揺れが広く観測された背景には、そうした“浅い地震特有の広がり方”が関係しているのでしょう。沿岸部を中心に、引き続き震度4〜5クラスの揺れが急に来る可能性は十分あると感じます。

　また、世界の地震活動を見ると、キプロス周辺でもM5クラスが短時間に複数発生しており、こちらはプレート境界の性質上、地震の「数より質（規模）」に注目すべき領域です。被害は報告されていないとのことですが、地中海東部は大きな地震の頻度こそ低いものの、もし発生すれば影響が広範囲に及ぶため、やはり無視できない動きです。

　こうした国内外の揺れが連続する時期は、「次にどこで揺れてもおかしくない」という、ある意味で“地震が起きやすい空気”のようなものが漂います。私たちは「次の大地震を予測することはできない」現実を受け止めつつ、同時に“準備していれば結果的に何も起きなかっただけ”という状態を肯定的に受け入れる必要があります。

　三陸沖は日本の中でも特に大きな地震の履歴が多いエリアです。だからこそ、今の段階でできる備えや心構えは非常に重要だと感じます。防災バッグの点検、家族との連絡方法、家具の固定、そして“ゆっくり揺れたら津波の可能性を考える”といった基本的な行動を、改めて見直すきっかけにすべき状況かもしれません。

　今回の報告でも「もうしばらくは注意が必要」とまとめられていましたが、まさに今がその“もうしばらく”の時期だと思います。大きな被害が出ていない今だからこそ、この活発な活動を軽視せず、冷静で具体的な備えを続けていくことが大切だと感じました。