野杁正明“あと一歩”にSNS騒然　スーパーボン戦の判定0-3にファンが沸いた本当の理由

今回のONEフェザー級王座統一戦は、まさに「技術」と「意地」が正面からぶつかった一戦だったと感じました。試合前から注目度は非常に高く、野杁正明選手が暫定王者として正規王者スーパーボンに挑むという舞台設定自体がドラマ性に満ちていましたが、実際の試合内容はその期待を上回る緊張感と攻防の深さがありました。特に序盤から野杁選手が前へ出続け、カーフキックや鋭いパンチでスーパーボンの足と体を削り、主導権を握りにいく姿勢には本当に心を動かされました。あの圧力は、軽量級とは思えないほどの迫力で、現地の観客も画面越しの視聴者も「これはいける」と感じた瞬間があったはずです。

中盤に入ってからも野杁選手は決して下がらず、ローキックを積み重ねる形で試合を進めました。3Rの連続クリーンヒットは、見ているこちら側も思わず息を呑むほどのタイミングと正確さで、スーパーボンの表情にもわずかながらダメージの色が浮かんでいたのが印象的です。しかし、その一方でスーパーボンも決して簡単な相手ではなく、要所で的確なハイキックやヒザ蹴りを返してくるあたりは、さすが長年トップに君臨してきた王者の余裕と読みの深さを感じさせました。「ONEの王者としての経験値」が攻防の中にしっかり現れていたように思います。

そして最終ラウンド。ここが本当に両者を分けた局面でした。試合を勝ちにいくのは当然ですが、「勝ってきたスタイル」を貫いたスーパーボンの安定感と、対して野杁選手が流れを引き寄せきれなかったわずかな差が、最終的な0-3という判定に表れたのだと感じました。有明アリーナが大きく揺れるほどの“野杁コール”が響く中で戦った姿は胸を打たれましたが、世界の舞台は本当に紙一重なのだと痛感します。判定を聞いた瞬間の野杁選手の肩の落ち方は、ファンの心にも強く残ったはずです。

勝者スーパーボンの「プラン通り」「唯一のミスはKOできなかった」というコメントは非常に象徴的で、この試合の完成度を物語っていました。とはいえ、野杁選手が世界の頂点に立てるポテンシャルが完全に示された試合でもあったと思います。あと一歩届かなかったからこそ、次こそは必ず掴めるという空気が会場全体に残りました。敗北にも価値があると感じさせる素晴らしい試合でしたし、日本の格闘技ファンがこれほど熱くなる瞬間はそう多くないと感じました。