「優待投資の神」桐谷広人さんが語る“郵便地獄”の現実　分散投資の意外な落とし穴とは

桐谷広人さんといえば、“株主優待生活”の代名詞のような存在であり、多くの人に「投資って面白そう」と思わせてくれた先駆者のひとりです。その彼が今回、自身のX（旧Twitter）で、分散投資の“意外な落とし穴”について素直に報告していたのがとても印象的でした。内容は、「株主優待を受け取るために数多くの企業に分散投資しているが、その結果、郵便物がとんでもない量になって大変だ」というもの。月曜は104通、火曜は17通、そして水曜には69通…。想像するだけで、ポストが溢れかえりそうです。

桐谷さんが常に自転車で移動し、全国の株主優待を使い倒す姿は、多くの人にとって「理想の老後像」のようにも見えていたかもしれません。しかし、現実はそんなに甘くなくて、数百社にも分散投資しているからこその「総会シーズンの郵便地獄」。これは確かに、一般人にはなかなか耐えられないかもしれません。

ただ、こうした苦労を「投資の一部」として受け入れ、それでもなお講演などで「分散投資が良い」と伝え続ける桐谷さんの姿勢には、芯の強さを感じました。彼が推奨する投資スタイルは、“一発逆転を狙う投機”ではなく、“生活を豊かにするための地道な積み重ね”。それを体現しているからこそ、多くのファンがいるのでしょう。

郵便物の開封ひとつ取っても、「これは開封しましたが、こっちはまだ」と書かれていて、まさに人間味あふれる日常がそこにあります。そして、写真をアップできない不便さを「友人にYahoo!経由で…」と試行錯誤するあたりも、75歳の投資家が今もなお現役であり続けている証だと思います。

それにしても、これだけの郵便物を毎年さばいている郵便配達員さんへの感謝まで言及する姿勢には、本当に頭が下がります。利益や損益の話だけではなく、そこに関わる人たちへの思いやりがあるからこそ、桐谷さんの投資スタイルはただの“お金の話”を超えて、人の心を打つのでしょう。

投資には、キラキラした成果だけでなく、こういった裏の努力や面倒ごとも確かにある。そんな現実をしっかり見せてくれるからこそ、桐谷広人さんの言葉には重みがあります。これからも、自転車とともに街を駆け抜けるその姿を、ずっと応援していたいと思いました。