
秋の茶臼岳は紅葉と硫黄の香りが混ざる独特の風景で、多くの登山者が訪れる人気スポットです。しかし、その美しい光景の裏側に“命の危険”が潜んでいることを、今回の事故は改めて思い知らせました。
報道によると、埼玉県の46歳男性が足をけがして動けなくなり、防災ヘリで救助されました。右足を骨折していた疑いがあり、命に別状はなかったようですが、そのわずか数時間前には、別のパーティの男性が落石を受けて10〜15メートル滑落し、命を落としています。どちらも茶臼岳という同じ山で、同じ日に起きた出来事。偶然ではなく、「自然の厳しさ」を強く突きつけられるような連鎖でした。
落石というのは、登山中に最も避けがたいリスクのひとつです。特に火山地帯のように地盤がもろく、前日の雨や朝晩の気温差が大きい場所では、ほんのわずかな振動や風で岩が崩れ落ちることがあります。誰かの足跡がきっかけになったり、上を歩く登山者が石を蹴ってしまうことも珍しくありません。それがたった数秒の出来事で、人の命を奪ってしまうのです。
今回の事故で印象的なのは、“どちらも複数人のパーティだった”という点です。登山は仲間と行くことで安心感が増す一方、危険を分散することにはなりません。むしろ人が増えるほど、落石や転倒のリスクは高まります。互いの位置や足場を確認しながら、「声をかけ合うこと」がいかに重要かを痛感します。特に岩場の多い茶臼岳では、1人が滑れば他の登山者も巻き込まれる恐れがあります。
紅葉シーズンの登山は、晴天であっても油断できません。岩の上に霜が残っていたり、朝の気温差で路面がぬれていたりと、見えないリスクが潜んでいます。SNSでは「きれいな写真」が多く投稿されますが、その裏には多くの緊張感と注意力が必要です。ヘルメットの着用、登山届の提出、そして「下山のほうが危険」という意識を持つこと。これらがどれほど大切かを、今回の茶臼岳の出来事が教えてくれます。
自然は人を癒やすと同時に、容赦なく命を試します。登山は“挑戦”ではなく“共存”であることを忘れてはいけません。救助された46歳の男性も、亡くなった57歳の男性も、それぞれに自然を愛していたことでしょう。だからこそ、私たちは彼らの経験を無駄にせず、「安全に登る」という当たり前のことを、改めて心に刻む必要があります。紅葉に誘われた山の美しさに酔う前に、その足元をもう一度見つめ直したい──そう感じさせられるニュースでした。
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<ツイッターの反応>
ヤマのコト
@yamanokoto那須・茶臼岳で東京・小平市の50歳代の男性が滑落し死亡 その他にも40歳代の男性が足をけが/栃木 tochigi-tv.jp/news2/page.php…
栃木の山が好き
@tamutyan返信先:@JeeAhcheery ここは、牛ヶ首から峰の茶屋跡の避難小屋に向かう噴気孔がある場所です。茶臼岳の崖のしたなので、落石注意の場所ですね~
akko
@pakiko0707返信先:@addinplus わぁ、一気に冬ですね😳 ところで茶臼岳で怪我された方は無事救助されたのでしょうか…。
まめoh!@山と豆王と俺
@MameO48262318返信先:@yamayama_sanpo ホント茶臼岳の展望スポットめっちゃ爆風だったけど、赤岳方面もよく見えて最高でした!






























